冨山和彦の「破壊王になれ!」

冨山和彦氏が断言「再編は時代遅れの特効薬幻想」

冨山和彦・経営共創基盤グループ会長
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多くの企業再生に携わってきた冨山和彦さん=東京都千代田区で2014年5月7日、内藤絵美撮影
多くの企業再生に携わってきた冨山和彦さん=東京都千代田区で2014年5月7日、内藤絵美撮影

 最近、金融機関や航空会社、さらには中小企業全体を巡って「再編」という言葉が飛び交っている。いわく「需要減少に対応するには企業数を減らすべきだ」「企業規模を大きくすれば生産性が上昇する」などなど。

 当方、仕事柄、我が国でこの20年間にわたり最も多くの再編に関わってきた一人だが、世にいう「再編論」は今どきの産業実態においては意味を失っている話が少なくない。

再編しても需要減は解決しない

 例えば航空会社。コロナ禍で急激な需要減少に苦しんでいるが、これは固定費型の産業が急激な売り上げ減少に弱いからである。仮に日本航空と全日本空輸が統合しても、この問題は解決しない。

 長期的にシステム経費の共通化など、規模の経済性が効く部分があるのは確かだが、これからデジタル技術のクラウド化、オープン化、標準化が猛烈に進む中で、個々の航空会社がそれぞれシステム構築をすること自体が無意味になる可能性が高い。

 コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)はさらに加速、拡大するので、システムの共通化は航空会社という産業の壁を越えて進む可能性が高く、そうなるとますます経営統合しなくても桁違いの規模のメリットを享受できることになる。

思いがけない破壊者の登場

 加えて、ビジネスモデル自体が大きな変容を迫られている。日航や全日空のようなグローバルネットワークキャリアーにとって、従来のドル箱は国際線のビジネスクラスだった。しかし、インターネットを使ったリモート会議がコロナ禍で一気に普及したせいで、パンデミックが収束しても海外出張需要は元通りにならない可能性がある。

 思いもしなかったところから、デジタル革命型の破壊的イノベーターが登場したのだ。これは10年前に私が日航の再建を手掛けた時とはまったく違う大きな環境変化である。

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冨山和彦

経営共創基盤グループ会長

 1960年生まれ。東大法学部卒。在学中に司法試験に合格。米スタンフォード大経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループなどを経て、政府系企業再生ファンドの産業再生機構の最高執行責任者(COO)に就任し、カネボウなどを再建。2007年、企業の経営改革や成長支援を手がける経営共創基盤(IGPI)を設立し最高経営責任者(CEO)就任。2020年10月よりIGPIグループ会長。日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長。