経済記者「一線リポート」

今冬の電力逼迫で注目「2030年電源構成」めぐる論点

工藤昭久・毎日新聞経済部記者
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LNGで発電する九州電力の新小倉発電所=福岡県北九州市(九州電力ホームページから)
LNGで発電する九州電力の新小倉発電所=福岡県北九州市(九州電力ホームページから)

 政府は「エネルギー基本計画」を2021年夏に改定する。中長期的な国のエネルギー政策の方向性を示すものだ。30年の新たな電源構成の目標をどう位置付けるかが大きな焦点で、今後、経済産業省の委員会などで議論が本格化する。

 おりしも今冬の電力逼迫(ひっぱく)問題は、日本の電力供給体制のもろさを浮き彫りにした。脱炭素の流れが強まる中、温暖化対策への対応と電力の安定供給を両立させる電源構成を導き出すことは、至難の業となりそうだ。

 年明け以降に電力が逼迫したのは、10年に1度とされる寒波、悪天候による太陽光発電の出力制約、燃料の液化天然ガス(LNG)の調達難など、いくつもの誤算が重なったためだ。

 その結果、大手電力同士で電力融通を行ったり、廃止予定や停止中の火力発電所を稼働したりするなどして、何とか乗り切った格好だ。経産省幹部は「ここまで逼迫するとは想定外だった」と振り返る。

石炭火力の縮小は必至

 11年の東日本大震災以前、日本の電力を大きく支えてきたのは原子力や石炭火力だった。しかし、事故後に原発の安全審査が厳格になったことなどを背景に原子力の稼働は低下。その減少分を補ってきたのはLNG火力や石炭火力だった。だが、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力は環境性能から縮小を迫られている。

 今回大手電力が頼ったLNG火力は、石炭火力よりはCO2を排出しないメリットがあるが、気化しやすく長期備蓄が困難なため、燃料調達が難航し、電力逼迫の一因となった。

 電力各社は主に長期契約でLNGを取引している。今回は足りない分を1回ごとの契約で取引するスポット市場で調達を進めたが、同じく寒波に見舞われた…

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工藤昭久

毎日新聞経済部記者

 1974年生まれ。立教大学法学部卒。生命保険会社勤務を経て、2000年毎日新聞社入社。静岡、浜松支局を経て04年から東京経済部。財務、総務、経済産業、農林水産などの中央官庁や産業界、金融業界、財界などを幅広く取材。18年4月から大阪経済部編集委員として関西経済を取材。20年4月から経産、農水両省、エネルギー業界の取材を束ねるキャップ。