日本企業に未来はあるか

「巣ごもりで好調」家電業界の未来を考える

中村吉明・専修大学経済学部教授
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パナソニックの炊飯器(左)とアイリスオーヤマの炊飯器=東京都千代田区の家電量販店で2017年9月14日、野村房代撮影
パナソニックの炊飯器(左)とアイリスオーヤマの炊飯器=東京都千代田区の家電量販店で2017年9月14日、野村房代撮影

 コロナ禍の中、旅行業、飲食業など厳しい状況に直面している業界がある一方、巣ごもり特需で活況を呈している業界がある。その最右翼が家電業界だろう。

 2020年の白物家電の出荷額は空気清浄機、ホットプレート、トースター等が伸び、前年比1%増となった。5年連続のプラスで、1996年以来24年ぶりの高水準という。

 またオーディオ機器など黒物家電は薄型テレビが前年比11.5%増となった。タブレット端末などテレワーク関連の売れ行きも好調と聞く。今後も家電の好調は続くのだろうか?

家電業界の未来を占う出来事

 家電の今後を占う重要な出来事が昨年12月16日に二つ起きた。一つは日本のベンチャー家電メーカー「バルミューダ」の上場、もう一つは日立製作所の海外家電販売からの撤退発表だ。

 バルミューダは、パンをふんわり焼きあげるトースターなど、既存の家電に新たな付加価値を加え、比較的高額で販売する「ファブレスベンチャー企業」だ。

 ファブレスとは自社の工場を持たない製造業のこと。自社は企画や設計に専念し、生産は外部に委託するアップルやユニクロのような企業だ。バルミューダはトースター以外にも扇風機、掃除機なども販売している。

 英国には家電の概念を刷新し、それに見合う対価で新機軸を開いた電機メーカー「ダイソン」がある。バルミューダはそのフォロワー(追従者)という位置づけとなろう。そのバルミューダが12月16日に東証マザーズ市場に上場したのだ。

 一方、日立製作所は同日、家電の海外事業をトルコの家電大手に売却すると発表した。日立はリーマン・ショック後、当時の製造業として最大の最終赤字を計上したのを契機に、IoT…

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中村吉明

専修大学経済学部教授

 1962年生まれ。87年、通商産業省(現経済産業省)入省。環境指導室長、立地環境整備課長などを経て、2017年から現職。専門は産業論、産業政策論。主な著書に「AIが変えるクルマの未来」(NTT出版)、「これから5年の競争地図」(東洋経済新報社)など。