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相続と贈与の税一体化へ「富裕層の節税封じ」の意味

渡辺精一・経済プレミア編集部
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「税制改正」これからどうなる(4)

 財産を人が亡くなった後に受け継ぐ相続と生前に譲り受ける贈与は、財産を受ける点では同じでも税負担が大きく違う。それを統合して一体課税する大改正が焦点となっている。2020年末に公表された与党税制改正大綱は「本格的な検討」を明記した。

「老老相続」という課題

 相続では、財産を受け継ぐ人に相続税を課す。相続財産の一部を納めてもらうことで富の集中を抑える再分配機能があり、財産の額が多いほど税率が高い累進課税だ。

 一方、贈与税は個人から財産を譲り受けた人に課す。1年間に受けた財産の合計額から基礎控除110万円を引いた額に課税する「暦年課税」が基本だ。

 贈与税は、富裕層が財産を生前贈与して相続課税を逃れることを防ぐのが狙いだ。そのため税率は相続税よりかなり高い。課税対象資産が3000万円の場合、相続税の税率は15%だが、贈与税(祖父母や親から孫・子への特定贈与)は45%になる。

 つまり相続税を贈与税が補い、生前贈与を抑制している。ところが高齢化が進むにつれ、その弊害が目立ってきた。亡くなる年齢が高まり、相続を通じてお金が次世代に回る時期が遅れるという問題だ。

 相続税申告で被相続人(亡くなった人)が80歳以上のケースは1989年で全体の39%だったが18年には71%になった。この場合、相続人は50代以上と想定できる。財産を残す側も受け継ぐ側もともに高齢という「老老相続」が増えている。

 この結果、資産は高齢者層にとどまりがちだ。金融庁推計では、個人金融資産のうち60歳以上が保有する割合は99年の47%から14年には66%に高まり、35年には71%に達す…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。