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コロナ自粛に「耐えられない社員」会社はどうサポート

舟木彩乃・産業心理コンサルタント・カウンセラー
 
 

 林さん(仮名、男性20代後半)は、人材紹介会社の法人営業部門(15人)で働いています。会社は新型コロナウイルス対策で早くから在宅勤務を中心とし、営業の接待や不要不急の会食は極力避けることや、ランチを含め飲食は3人以下にすることなどを決めていました。

 林さんは、社内外のさまざま人たちとお酒を飲んだり、ゴルフ旅行に行ったりすることが好きで、それが営業に役立つことも多々ありました。しかし、コロナ禍では、ランチミーティングさえ気軽に行けなくなり、仕事がやりにくくなったようです。

大勢の会食をSNSにアップ

 昨年の夏ごろまでは会社の自粛要請に従っていましたが、次第にストレスがたまってイライラすることが増えていきました。ついには、勤務後や休日に同じ考えの社外の友人たちと飲みに行ったり、イベントに参加したりするようになりました。

 林さんの考えの根底には、会社はコロナ報道などに振り回されて、過度に自粛しているということがあるようで、上司のAさんが「社内で感染者が出たら困るから」と林さんを注意しても、あまり聞く耳を持ちません。家族も「危ないから」と止めていたようですが、林さんは「大丈夫!」と自信満々に答えていたそうです。

 さらには、林さんは10人近い人数で会食しているところの写真や、コロナを怖がる必要はないといった類いの記事を転載してSNSに載せることも行ったため、さすがにAさんは厳しく注意し、投稿の削除を命じました。

「ストレス反応」が出続ける

 林さんのように、感染リスクを低く評価したり、問題行動と取られる場面をSNSにアップしたりする人の心理的背景にはどのようなものがあるのでしょうか。

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産業心理コンサルタント・カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。金融庁職員のメンタルヘルス対策にも従事する。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。