経済記者「一線リポート」

コロナでも「倒産減少」その陰で起きていた企業の異変

安藤大介・毎日新聞経済部記者
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緊急事態宣言を受け、開店時間を早めて営業する飲食店=大阪市北区で2021年2月2日、望月亮一撮影
緊急事態宣言を受け、開店時間を早めて営業する飲食店=大阪市北区で2021年2月2日、望月亮一撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大で、経営が行き詰まる企業が増えている。信用調査会社の東京商工リサーチによると、2020年に全国で休廃業・解散した企業は、00年の調査開始以降で最多の4万9698件(前年比14.6%増)だった。

 一方、企業倒産件数(負債額1000万円以上)はバブル期の1990年以来、30年ぶりの低水準となる7773件(前年比7.3%減)だった。

 休廃業・解散は過去最多なのに、倒産が歴史的に少なかったのは不思議な気がするが、市場から企業が消える点は同じだ。感染拡大で何が起きたのか。同社の情報部部長、松永伸也さんに分析してもらった。

政府の資金繰り支援で延命

 「新型コロナの影響で倒産する企業は増えると思いました。しかし、政府の資金繰り支援策などで延命されているというのが現状です」。松永さんは企業が置かれる厳しい状況についてこう説明する。

 東京商工リサーチは感染拡大が本格化した昨年春ごろ、倒産件数は年間で1万件を超すとみていた。19年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられ、消費に影響が出ていた。人手不足も深刻化し、企業経営の重しになっていた。さらに暖冬で衣料販売などにブレーキがかかり、年初から倒産件数は増加傾向で推移。これが感染拡大で急加速すると予想した。

 流れを変えたのは実質無利子・無担保融資などの政府の資金繰り支援策だった。全国の金融機関に、売り上げが急減した中小企業や個人事業者の相談が殺到した。松永さんは「経営危機でない企業も念のために借りるという動きがありました」と振り返る。企業の資金繰りは改善し、倒産数の増加ペースは縮小に転じた。

 新型コロナは収束せず…

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安藤大介

毎日新聞経済部記者

 1977年、愛知県生まれ。慶応大経済学部卒。2002年、毎日新聞社入社。大阪本社経済部などを経て、14年から東京本社経済部。エネルギー業界や日銀、民間企業、経済産業省などを担当。18年から津支局次長。20年10月から東京経済部で日銀、証券、金融庁の取材を束ねるキャップ。