熊野英生の「けいざい新発見」

「アフターコロナの課題」は日本経済の“長年の宿題”

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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10都府県での緊急事態宣言延長について記者会見する菅義偉首相=2021年2月2日、竹内幹撮影
10都府県での緊急事態宣言延長について記者会見する菅義偉首相=2021年2月2日、竹内幹撮影

 緊急事態宣言が長期化することによる経済への悪影響は、今後どのように顕在化していくだろうか。

 一つは、飲食サービス、ホテル・旅館など観光関連の事業者の業況悪化だ。緊急事態宣言の対象となっている10都府県では、外出、旅行、各種イベントが自粛や中止に追い込まれているが、その悪影響は対象になっていない地域でも広範囲に広がっている。

 特に、観光に依存した地域では、東京など大都市から観光客が来ないことで、閑散としているようだ。そこでの飲食店、ホテルなどは休業支援金をもらいながら休業している事業者が多い。補助金依存体質はかなり高まっているものと思われる。

インバウンド需要は回復しない

 一方で雇用調整助成金などの補助金で営業を続けている事業者も、新型コロナがある程度収束した後、そのような補助金なしで以前のように営業してくことは大丈夫なのだろうか。現在は停止されているGo Toキャンペーンが需要のてこ入れになると期待されるが、その恩恵には偏りがある。低価格帯のホテル・旅館は割引の恩恵が相対的に小さいとされる。

 特に、訪日外国人(インバウンド)の増加によって潤っていた地域の観光業は、当分の間、海外からの観光客は見込めず、アフターコロナに移行しても、需要不足に苦しむことが予想される。

 苦境に立った事業者の救済に寄与しているのは、補助金のほかに金融支援もある。一定割合で売り上げが減少した企業は、実質無利子無担保で借り入れをすることができる。いわゆる「ゼロゼロ融資」という仕組みだ。借り入れ上限は、2月1日から6000万円になった。日本政策金融公庫の特別貸し付けは上限6億円である。

 万一の貸し倒れに対…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。