経済記者「一線リポート」

「ココア通知届かず」に感じた失望と怒り

後藤豪・毎日新聞経済部記者
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新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の画面=後藤豪撮影
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の画面=後藤豪撮影

 正直言って失望している。2020年6月に厚生労働省が運用を始めたスマートフォン向け接触確認アプリ「COCOA(ココア)」についてである。アンドロイド版で、感染者と接触があっても通知されない状態が約4カ月も続いていたことが明らかになった。該当するのは約770万件にものぼる。

 私は、20年8月25日の本欄で、新型コロナウイルスに起因した肺炎で父親を失った知人女性のエピソードを紹介した。入院してから亡くなるまでの3週間、一度も父親に会えなかった。女性は「コロナは命を奪う怖いウイルス。気づかずに周囲にうつしてしまったら取り返しのつかないことになる」とアプリをダウンロードした。この記事は、普及への期待を込めて、「『アプリ』で守れる命はある」というタイトルにした。

「アプリで守れる命はある」はずが

 このアプリは、スマホの近距離無線通信(ブルートゥース)の機能を使い、利用者同士が1メートル以内に15分以上いた場合、接触履歴を互いのスマホに記録。一方が感染者となった場合、もう一方に通知されるというものだ。人口の40%が利用し、個々の濃厚接触者が外出を60%控えれば、感染者数を6割程度減らせるとのシミュレーションもあり、感染抑制の「切り札」と考えられていた。

 それから半年近く。今年2月10日時点のダウンロード数は約2511万件で、日本の総人口の約2割にとどまっている。昨年の夏にアプリをダウンロードしたという大阪府摂津市のパートの女性(58)は「(世間に)広まらないし、意味がないんじゃないかと感…

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後藤豪

毎日新聞経済部記者

 1981年、東京都生まれ。明治大学商学部卒業後、2005年毎日新聞社入社。青森支局、大阪社会部、神戸支局、甲府支局、東京社会部を経て、18年10月から東京経済部。生損保や証券業界のほか、ソフトバンクグループや楽天などIT企業を担当した。20年4月から総務省担当として情報通信や郵政行政などを担当し、デジタル庁創設に向けた動きも追っている。