海外特派員リポート

コロナ禍の英国で「人気パン屋」が誕生した秘密

横山三加子・毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)
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パン屋を始めたソフィア・サットンジョーンズさん=ロンドンで2021年2月6日、横山三加子撮影
パン屋を始めたソフィア・サットンジョーンズさん=ロンドンで2021年2月6日、横山三加子撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大でロックダウン(都市封鎖)が続く英国では、スーパーや食料品店など生活必需品を扱う店は通常通りの営業だが、飲食店は持ち帰りのみの営業で、衣料品店や本屋などは休業が続く。

 ロンドンの職場周辺を歩いていると、休業中だと思っていた店の看板が消え、テナント募集の広告が貼られるケースも増えてきた。

 英統計局が1月下旬に発表した調査(企業約1万社が回答)によると、今後3カ月にわたって事業を継続する「自信がない」などと答えた企業は全体の15%に上っている。規制がいつ緩和されるか見通せない中、「もう店がもたない」と悲観する経営者が増えているようだ。

「長年の夢」実現したいが

 そんなコロナ禍にもかかわらず、長年の夢を実現した人もいる。ロンドン北部で2020年末にパン屋を開業したソフィア・サットンジョーンズさん(29)と夫のジェシーさん(28)だ。

 イーストを使わずに自然発酵させ、酸味が特徴の伝統的なパン「サワードウ・ブレッド」が人気の店だ。2月の土曜の午後、ソフィアさんのパン屋を訪ねると、既に商品はほぼ完売状態だった。

 夫婦は新型コロナ感染拡大前まではキッチン用品のオンライン販売で生計を立てていた。だが、配送料の上昇などでビジネスモデルは曲がり角だったという。

 一方、ソフィアさんはドイツに住むパン職人の父の影響で、子どもの頃からパン作りが大好きだった。オンライン動画でパン作りを披露するなど、「パン屋を開くことは長年の夢だった」という。しかし、夢は夢。実現に向け具体的な行動をしていたわけではなかった。

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横山三加子

毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)

1981年、埼玉県生まれ。法政大学社会学部卒。2004年、毎日新聞社に入社。岡山支局、大阪本社経済部を経て13年から東京本社経済部。電機・通信業界、経済産業省や財務省、財界などを担当。19年10月から現職。