メディア万華鏡

森喜朗氏の「女性蔑視発言」マスコミ報道のお粗末さ

山田道子・元サンデー毎日編集長
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「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの発言について記者会見する森喜朗氏=東京都中央区で2021年2月4日(代表撮影)
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの発言について記者会見する森喜朗氏=東京都中央区で2021年2月4日(代表撮影)

 「ジェンダー平等の社会を」「#DontBeSilent(沈黙しないで)」。神奈川県小田原市の駅前で大学生くらいの女性たちがプラカードを掲げ、「みなさん、声をあげましょう」と訴えていた。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言をした2月3日直後の週末だった。

 森氏に対する批判が国内だけでなく、燎原(りょうげん)の火のごとく世界に広がったのは、森氏の発言の女性嫌悪(ミソジニー)がグローバルに分かりやすかったからだろう。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「組織委にも女性がおられるが、みんなわきまえておられる」などの発言がそうだ。最終的に森氏は会長辞任に追い込まれた。

昭和のおじさんの本音?

 ケンブリッジ大古典学教授のメアリー・ビアードさんが、ギリシャ・ローマ時代から、発言する女性が排除されてきた歴史をたどる「舌を抜かれる女たち」(昌文社)を以前このコラムで紹介したが、森氏の発言は21世紀に入った今も、女性の舌を抜きたい「日本の昭和のおじさん」の本音をあからさまにした。

 そもそも会議は長いと悪いのか。森氏が良しとするのは、上が提示した議事に従い、異議なくシャンシャンで終わる会議だろう。

 そんな森氏発言に関する報道はどうだったか。毎日新聞2月4日朝刊社会面の初報記事「『女性多い会議 長い』 五輪組織委 森会長が私見」は、「女性蔑視とも受け止められる発言で波紋を広げそうだ」と書いた。

 「女性蔑視とも」という逃げ、「波紋を広げそうだ」というお決まりの表現に、問題の重大性をどこまで感じているか伝わってこなかった。森氏の発言撤回・謝罪発言を伝える同5日朝刊1面は「…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。