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人と接触避けられない「訪問修理」担当者のコロナ対策

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
 
 

企業のコロナ対策(3)

 三井さん(仮名、50歳女性)は、従業員数約300人の精密機器販売会社の総務課長です。産業医である私は、三井さんから新型コロナウイルスに関する相談を受けていました(前回、前々回参照)。話は、自社の従業員が顧客を訪問する際の対策へと移っていきました。

多数の人が触れるものを消毒

 三井さんの会社は、オフィス用のプリンターや複合機などを販売しており、その保守点検や故障の修理サービスも行っています。感染対策として、定期的な保守点検は積極的にウェブ会議システムを活用し、顧客に実施してもらうケースが増えています。三井さんは「故障の修理については、どうしても従業員が訪問する必要があります。マスクの着用や手指の消毒などを徹底するよう伝えていますが、それで十分でしょうか」といいます。

 現在は、人との接触を減らすことが有効な感染対策です。しかし、どうしても人との接触が必要な場面もあります。そこで、その場面では感染するリスクを最小限にしていくことが大切です。

 プリンターなどはオフィス内で多数の人が触れるものです。作業前にはアルコールを含むウエットティッシュなどで消毒します。顧客に口頭で説明が必要な場合は、十分に距離を取り、マスクを着用します。

 フェースシールドやマウスシールドだけを利用し…

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産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。