毎日家業×創業ラボ

星野代表が説く「ビジョンは経営者が決めよ」

星野佳路・星野リゾート代表
  • 文字
  • 印刷
記者会見する星野リゾートの星野佳路代表=大阪市で2017年4月、真野森作撮影
記者会見する星野リゾートの星野佳路代表=大阪市で2017年4月、真野森作撮影

 家業を継いで、今年で30年になる星野さんは、長く「リゾート運営の達人になる」というビジョンを掲げてきました。会社にビジョンが必要なのはなぜでしょうか。今回は、ビジョンの「決め方」とその大切さ、そして「やってはいけないこと」を聞いていきます。

星野佳路の家業のメソッド

 星野リゾートを経営して30年になりますが、そのうち25年ほどは「リゾート運営の達人になる」というビジョンを掲げてきました。ビジョンとは「会社の将来像」のことです。

 ビジョンの設定の仕方は、経営学の教科書でも語られている通り、二つの要件があります。一つは、自社の事業ドメイン、つまり事業を行う「土俵」を明確にすること。もう一つは、会社の現状とはかけ離れた「将来の姿」を示すことです。我々で言うと、「リゾート運営」という土俵で、顧客満足度と収益率を兼ね備えた「達人」になろうということでした。

 ビジョンを掲げ、会社の将来像をはっきりしておかないと、会社を経営する上で、取るべきリスクと、取るべきでないリスクが分からなくなってしまいます。目先にあるリスクの少ない仕事ばかりをやり続け、10年後、20年後に会社がどうなっているか分からないというのでは、まさに「ビジョンなき経営」になってしまいます。

ビジョンが「越えるべき山」を指し示す

 これに対し、ビジョンが明確であれば、どれだけリスクが高くても、ビジョンに到達するためには「どうしても越えないといけない山」がどれなのかが見えてくる。

 逆に、ビジョンの到達に必要でないなら、利益が出…

この記事は有料記事です。

残り944文字(全文1590文字)

星野佳路

星野リゾート代表

 1960年、長野県生まれ。慶応大経済学部卒業後、米コーネル大ホテル経営大学院修士課程修了。91年に星野温泉(現・星野リゾート)代表。温泉旅館だった家業を「世界で通用するホテル会社」にするとの目標のもと、所有と運営を一体とする日本の観光産業でいち早く運営特化戦略をとり、大きく変貌、成長させた。