海外特派員リポート

中国のTPP参加「ハードル高いがかなり本気」の理由

小倉祥徳・毎日新聞中国総局(北京)特派員
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中国の習近平国家主席。TPP参加は実現するのか=2017年4月7日
中国の習近平国家主席。TPP参加は実現するのか=2017年4月7日

 中国が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加準備を着々と進めている。TPPは元々、米国主導の「対中包囲網」として動き出した経緯があり、国有企業の優遇措置など、中国がクリアすべきハードルは高い。交渉関係者からは「中国当局はかなり本気」との声も聞こえるが、実現可能なのだろうか。

 「現在、中国側はTPP参加について積極的に研究している。参加各国と(加入に関する)技術的な面で意思疎通と交流を図りたい」。中国商務省の高峰報道官は4日の定例記者会見でこう述べた。

習近平氏「積極的に検討」の思惑

 TPP参加を巡り、中国の習近平国家主席は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で「積極的に検討する」と表明した。

 突然の発言は世界に驚きをもって受け止められたが、「この意向は2019年以前から関係国にひそかに伝えていた」(政府中枢に近い金融会社幹部)という。

 その後、21年の中国政府の経済運営方針の柱の一つにも掲げられた。国営新華社通信は1月下旬、関税当局が参加準備を進める方針であると報道しており、今回の商務省報道官の発言で、政府一体で準備を加速する意向を改めて示した格好だ。

 中国は昨年11月に日中韓など15カ国が署名した地域的な包括的経済連携(RCEP)の国内承認手続きも年央には終える方針だ。TPP参加の狙いについて、中国政府は「経済のグローバル化と地域経済の一体化を推進する」(高氏)と、自由貿易を推進する姿勢を強調する。TPPを離脱した米国を尻目に、自由貿易を推進する姿勢を強調し、アジア太平洋地域での影響力を高めたい思惑がありそうだ。

中国国内に「外圧」への期待も

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小倉祥徳

毎日新聞中国総局(北京)特派員

東京都生まれ。2001年入社。秋田支局を経て06年から東京経済部で財務省、内閣府、経済産業省、国土交通省、日銀、証券、エネルギー業界などを担当。17~19年には中部本社でトヨタ自動車などを取材した。東京経済部、外信部を経て20年10月から経済担当の中国総局(北京)特派員。