
「見捨てられた」と感じる人々の戦い(下)
「ジェファーソン州独立運動」は、カリフォルニア州北部とオレゴン州南部にまたがる地域を「米国の51番目の州」とし、独立することを目指す白人らの運動です。前回のコラムでは、この運動に携わる人々の中に「政府から見捨てられた」という疎外感や、「田舎の自分たちの声が政府に届いていない」といった不公平感があることを指摘しました。
今回は、彼らのもう一つの顔「トランプ支持者である」という点について見ていきます。
1月6日、首都ワシントンでは、昨年11月の大統領選で選挙不正があったと訴えるトランプ支持者らが全国から集まり、抗議集会を開いていました。ジェファーソン州独立運動の一行も地元から3日間、車を走らせ、ワシントンにたどり着いています。
首都での抗議に参加した運動の中核メンバー、ラポザさんは、連邦議会議事堂近くのナショナルモールなどで自分たちの独立運動旗がなびく様子を写真撮影し、翌日7日にフェイスブックに投稿しました。写真が撮られた時間帯は、連邦議会議事堂に暴徒化したトランプ支持者らが乱入し、大惨事となっていたころと思われます。
なぜジェファーソン州独立運動の人々は、トランプ支持者と行動をともにするようになったのでしょうか。
トランプ氏に“代弁者”を求めた
彼らが暮らすカリフォルニア州で、白人はすでに多数派とは言えません。米国勢調査局によると、同州の人種構成はラテン系39%、白人37%、アジア系15%、アフリカ系6%となっています(2018年)。
これまで米国社会で「主流意識」を持っていた白人たちの中には、多様な人種で構成される社会から「取り残…
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