高齢化時代の相続税対策

経済的損失6兆円「所有者不明土地」解消は待ったなし

広田龍介・税理士
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 法制審議会は2月10日、土地所有者の相続登記を義務付けるなどの法改正案を答申した。少子高齢化が進むなか、持ち主がわからないまま放置された「所有者不明土地」が増えており、公共事業や民間取引などで土地を有効に活用することが難しくなっている。その解消が狙いだ。

所有者不明の面積は「九州超え」

 所有者不明土地とは、登記簿で所有者がすぐに特定できなかったり、できても本人と連絡がつかなかったりする土地をいう。

 有識者らで作る「所有者不明土地問題研究会」が2017年にまとめた報告書によると、16年度の地籍調査では約20%が所有者不明土地にあたり、全国では約410万へクタールと九州の面積を上回るとみられる。

 報告書は、対策が行われなければ、こうした土地は増え続け、経済的損失は17~40年で少なくとも約6兆円にのぼると推計した。

 全国各地では、人が長期間住んでいない空き家が増え、倒壊・火災の危険や治安悪化をもたらすなど問題になっている。こうした空き家の敷地が所有者不明であるケースも多い。

 所有者不明土地は時間が経過するほど問題が大きくなる。世代交代が進み、相続人の範囲が広がり、その関係も薄れれば、所有者の確定は一層困難になるためだ。

「メリットなし」で放置

 所有者不明土地が発生するのは、もともと、所有者が誰かをはっきりさせるような登記は義務でないことが大きい。

 バブル経済の最中、あるゴルフ場開発会社が広大な山林の買収を計画し、所有者を探すことになった。山林には先々代から相続登記がされておらず、時間をかけて相続人を探したところ、60人余いるとわかった。幸い、全員が売却に応じ、相続登記をして売…

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。