メディア万華鏡

スチュワーデスからCAに「偶像化」なぜ終わったのか

山田道子・元サンデー毎日編集長
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昔も今も客室乗務員は人気のある仕事だ
昔も今も客室乗務員は人気のある仕事だ

 新型コロナウイルスの影響で業績悪化の航空会社が、2021年春の客室乗務員(キャビン・アテンダント=CA)の採用をゼロにしたが、CAになる夢を諦められない女子大学生らが就職浪人をして来年を目指すというニュースを見た。

 大昔、私が大学生の頃、客室乗務員は多くの女性の憧れの職業だった。当時はCAではなく「スチュワーデス」だった。

 作家の田中康夫さんが広めた「スッチー」は、今振り返るとかなり男性目線だ。その後、女性が活躍できる職業が広がったり、契約社員による採用が導入されたり、格安航空会社(LCC)が増えたりして、大昔ほどCAの人気はなくなったのではと思っていたので、ニュースに驚いた。

差別を打ち破ってきた歴史

 そこで「ジェット・セックス」(明石書店)を思い出した。ジャーナリストのヴィクトリア・ヴァントックさんが、スチュワーデスの歴史とアメリカ的「女らしさ」の形成をたどった大作だ。

 同書によると、第二次世界大戦後、軍需産業に従事した女工は家庭に戻った。働かなければならない女性には教師や看護婦などの仕事しかなかったが、数百万人ものアメリカ人が飛行機で旅に出るようになり、「スチュワーデス」という専門職が生まれた。

 世界を飛び回るスチュワーデスになるには「若く美しく、未婚で、身なりが奇麗、細見で魅力的、知性的で高学歴、白人で異性愛者、さらに愛情深くなければならなかった」。スチュワーデスはアメリカの女の子のロールモデルとなり、「女性らしさ」と「アメリカ流」を海外に伝える大使となったという。

 求められる外見の基準や航空会社の色気利用など同書がつづる「セックス」(女という性)の要求はすさまじ…

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。