経済記者「一線リポート」

国保加入者層の変化に目を向けて

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マスクをして東京都心の繁華街を行き交う人々。新型コロナウイルスの影響で経済が落ち込む中、失業や賃金減少で生活が追い詰められる人が増えている=2020年3月30日、喜屋武真之介撮影
マスクをして東京都心の繁華街を行き交う人々。新型コロナウイルスの影響で経済が落ち込む中、失業や賃金減少で生活が追い詰められる人が増えている=2020年3月30日、喜屋武真之介撮影

 新型コロナウイルス禍での国民健康保険料(税)の支払い猶予特例制度の利用を東京都内の自治体が実質的に「拒否」し続けてきた問題の記事を2月に公開したところ、ネット交流サービス(SNS)上などで大きな反響があった。取材を通じて行政の対応の不適切さを感じる一方で、慢性的な財源不足に陥る国保制度の限界に危機感を抱いた。

行政対応の問題だけではない

 記事で紹介したのは、コロナ禍で昨年4月に失業した女性(50)のケース。失業を機に会社の健康保険から国保に切り替えたが、生活が苦しく国保料の支払いすらままならない。地元の市役所に国保料の支払い猶予を求めたが拒否された。国の支援策が詳しく説明されることもなかったという。こうした行政の対応に、SNS上では「行政が機能不全になっている」「ひどい話だ」との意見が上がったほか、「こうした話を聞くと特例としての減免や猶予ではなく直接給付を、と強く思わざるをえない」「市の担当者を呪っても何も解決しない。国は国保料徴収率を上げるだけの施策を今すぐやめろ」などと制度自体の欠陥を指摘する声もあった。

 地元市役所の対応には確かに問題があるが、SNSでも指摘があったように、背景には国保制度そのものが置かれている厳しい現実がある。主に大企業の従業員らが加入する「組合健保」や、主に中小企業の従業員らが加入する「協会けんぽ」などの公的医療保険に入れない人が原則全員加入する国保は、国民皆保険制度を支える土台と言える。しかし、国保料の支払いが大きな負担となり、かえって加入者の生…

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