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金融緩和縮小に慎重なFRBに「8年前のトラウマ」

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FRBのパウエル議長はゆっくりと慎重に出口戦略を進めようとしている (Bloomberg)
FRBのパウエル議長はゆっくりと慎重に出口戦略を進めようとしている (Bloomberg)

 まずは世界経済に大きな影響を与え得る米国の金利の状況から見てみよう。2020年8月上旬に0・5%近くに低下した米10年国債金利は、最近はバイデン政権の追加経済対策に伴う国債増発予想もあって1・3%前後へ上昇している。しかし、FRBの幹部はこれまでの金利上昇は許容範囲内と見ている。10年金利は依然としてインフレ率より低く、実質長期金利はマイナス圏にある。また株高やドル安といった“状況証拠”を勘案すれば金融環境は極めて緩和的と判断できるからである。

 一方で、FRBは8年前の“テーパータントラム(Taper tantrum)”の再発を警戒している。これは、「Tapering」(金融緩和縮小)」と「Temper tantrum(癇癪(かんしゃく))」を組み合わせた造語で、「市場の癇癪」を意味する。13年5月に当時のバーナンキFRB議長が量的緩和第3弾のテーパリングを示唆したところ、1・6%台だった10年金利は4カ月ほどで3%近くへと急騰、実体経済にも影響は及んだ。

 現在のパウエル議長は当時FRBの理事であり、同年の年初から春にかけて、出口政策への警戒心を市場参加者に持たせる方がよいとバーナン…

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