経済記者「一線リポート」

外国人が留学や投資で「日本行き」をためらう理由

安藤大介・毎日新聞経済部記者
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行知学園では日本の大学・大学院進学を目指して中国人らが熱心に学ぶ=東京都新宿区で
行知学園では日本の大学・大学院進学を目指して中国人らが熱心に学ぶ=東京都新宿区で

 「留学先に米国を選ぼうとしていた中国人学生が日本の大学・大学院に注目しています」

 こう話すのは東京・新大久保で中国人向けの進学予備校「行知学園」を経営する楊舸社長(34)だ。新型コロナウイルスの感染拡大や米中関係の悪化を受け、米国留学を目指していた学生が、代わりに日本を検討する動きがあるという。

 楊社長は「受け入れる日本の大学の姿勢には改善すべき点がある」とも指摘する。詳しく話を聞くと、日本の外国人受け入れ態勢には課題があると感じた。

留学先は米国が人気だったが

 中国の受験競争は厳しい。希望の大学に行けず、いったん挫折を経験した学生たちは、人生を変える場として日本を選ぶケースが増えているという。楊社長は「日本の有名大学院に最終学歴を変える一種の学歴ロンダリング(洗浄)だ」と語る。

 以前は日本にそうした中国人向けの予備校はなく、楊社長自身、名古屋大の入学時に独学で苦労を重ねた。在学中にインターネットの掲示板に記した自らの受験体験が評判を呼び、行知学園の開設につながった。だから留学生が直面する苦労はよく知っている。

 中国人学生に人気の留学先は圧倒的に英語圏だ。中国では幼少期から英語教育が盛んで、米国、カナダ、豪州、英国が人気だ。その中で一番は米国で、2019年には国別で最多となる37万人の中国人留学生が学んだ。

 しかし新型コロナの感染拡大が状況を変えた。米国では感染拡大が収まらず、トランプ政権下の米中関係悪化も強い逆風になっている。米国で学んでいた中国人留学生は、現地企業への就職や大学で研究を続けるという選択肢を断念し、中国に続々と戻っているという。

 そこで米国に代わる留学先として…

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安藤大介

毎日新聞経済部記者

 1977年、愛知県生まれ。慶応大経済学部卒。2002年、毎日新聞社入社。大阪本社経済部などを経て、14年から東京本社経済部。エネルギー業界や日銀、民間企業、経済産業省などを担当。18年から津支局次長。20年10月から東京経済部で日銀、証券、金融庁の取材を束ねるキャップ。