毎日家業×創業ラボ

「感動のある農業を」みやじ豚・宮治勇輔さん

永井大介・毎日みらい創造ラボ・アクセラレーター
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みやじ豚社長の宮治勇輔さん=神奈川県藤沢市で、永井大介撮影
みやじ豚社長の宮治勇輔さん=神奈川県藤沢市で、永井大介撮影

「感動のある農業を」みやじ豚・宮治勇輔さん

 湘南・藤沢の地に、農業をこれまでの「きつい」「きたない」「危険」の3Kから、「かっこよくて・感動があって・稼げる」の新3Kにしたいと奮闘している家業経営者がいます。みやじ豚社長の宮治勇輔さん(42)は、父昌義さんから事業を引き継ぎ、弟大輔さんとともに養豚業を営んでいます。宮治さんは養豚業を法人化し、ミシュランの星付きレストランで、みやじ豚を使ったメニューとして提供されるほどのブランド豚に育て上げました。そんな宮治さんの挑戦の記録を報告します。

私の家業ストーリー<1>

 湘南の海からの風が流れ込む神奈川県藤沢市北部。湘南といっても、一般的にイメージされるような海沿いの風景はなく、どこまでも田園風景が広がる地域だ。勇輔さんはこの地の農家の4代目として生まれた。

 「家のはす向かいにある本家は江戸時代からの農家でした」。養豚業は野菜農家だった祖父が始め、父昌義さんの代で専業となった。ここ神奈川県中央部は養豚が盛んな地域。昌義さんは周囲の4軒の農家と共同で大きな養豚場を経営する傍ら、個人で小さな養豚業を営んでいた。

 勇輔さん本人は養豚業を継ぐつもりは一切なかった。「家に帰ってきたおやじはなんだか臭い。この仕事はやりたくない、もっと格好の良い仕事がしたいと思っていた」。大学は慶応大学総合政策学部で人事組織について学んだ。

 子供のころから読書家でもあり、歴史小説をむさぼるように読んだ。中国の三国志、日本の戦国時代の織田信長、徳川家康といった英雄…

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永井大介

毎日みらい創造ラボ・アクセラレーター

 1975年神奈川県生まれ。住友銀行(現三井住友銀行)を経て2000年、毎日新聞社に入社。山形支局、東京社会部を経て、東京経済部で中央官庁や日銀、自動車、鉄道などを担当した。17年からベンチャー支援を行い、30社以上の立ち上げに関わったほか、毎日新聞社の新規事業創出も担っている。NEDO高度専門支援人材フェロー。実家は神奈川県厚木市の測量会社。