日本企業に未来はあるか

ウォークマンから続く「ソニー」アイデア商品の秘密

中村吉明・専修大学経済学部教授
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社長交代の記者会見で握手するソニー前社長の平井一夫氏(左)と現会長兼社長の吉田憲一郎氏=東京都港区のソニー本社で2018年2月2日、和田大典撮影
社長交代の記者会見で握手するソニー前社長の平井一夫氏(左)と現会長兼社長の吉田憲一郎氏=東京都港区のソニー本社で2018年2月2日、和田大典撮影

 業績好調のソニー。高度成長期はテレビなどの電化製品を作るメーカーだったが、今となってはプレイステーションなどのゲーム、半導体、銀行、映画、音楽など、幅広いプロダクツ(工業製品)、サービスを提供している。ただ、これに満足していない。ウォークマンなどで我々が感じた「ワオ!」というプロダクツを目指し、探索を続けているのだ。

 こんなプロダクツを知っているだろうか。

 スマートウォッチの「wena(ウェナ)」。wenaは腕時計のバンド部分に小型のタッチディスプレーを組み込み、電子マネー機能のほか、電話やメールの着信を通知する機能、歩数や消費カロリーなどのログ機能を備えている。

 wenaがあればスマホを見なくても、いろんな情報を入手できる。腕時計の部分はそのまま使えるので、ソニーはセイコーなど時計メーカーと組み、バンド部分にwenaを搭載した趣味性の高いアナログタイプの時計を発売している。

 wenaを開発した事業責任者の對馬哲平さんは「アナログの腕時計の美しさとスマホの利便性を一つにしたかった」と語っている。

 子会社が手掛けるスマートロックの「Qrio(キュリオ)」はどうだろう。スマホで家の鍵を操作するもので、専用アプリを使い、遠隔操作で施錠や解錠ができる。

 外出時に知人や友人が急に家を訪ねてきても、遠隔で鍵の解錠ができる。万一、鍵の閉め忘れがあっても、外出先で施錠できるため、閉め忘れを防ぐことができる。工事は不要で玄関のドアロックに簡単に取り付けられる。

社内起業が生んだソニーらしさ

 両者とも「ソニーの製品?」と思われるかもしれないが、これらには共通点がある。SSAP(Sony Start…

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中村吉明

専修大学経済学部教授

 1962年生まれ。87年、通商産業省(現経済産業省)入省。環境指導室長、立地環境整備課長などを経て、2017年から現職。専門は産業論、産業政策論。主な著書に「AIが変えるクルマの未来」(NTT出版)、「これから5年の競争地図」(東洋経済新報社)など。