熊野英生の「けいざい新発見」

副業の“AIマッチング”賃金上昇の仕組みを作れるか?

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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 昨年春に緊急事態宣言が発令されて以降、東京都内では街の風景に一つの変化が起きた。料理の宅配のために夜まで自転車で走る若者たちが急増したことだ。

 こうした若者は、フードデリバリーの事業者から仕事を請け負った配達員である。最近は、デリバリー業者も10社以上になり、街ではさまざまな種類の宅配バッグを背負った人を見る。配達の仕事は、専業でやる人もいれば、本業とは別に週2~3日の副業として行う人もいる。

4%の人が副業を持つ

 コロナ禍で収入が減ってしまったため、これまではやらなくてもよかった副業をやらざるをえない人はたくさんいるだろう。新型コロナウイルスの感染拡大が経済・社会に大変化をもたらしたことは誰も責められないが、結果として、これまで以上に働いて追加収入を得たいと思う人は増えたことになる。

 総務省の労働力調査によると、すでに就業している人のうち、追加の就労を希望する人は215万人(2020年10~12月平均)で、全就業者の3.2%だ。希望する人は男性3割、女性7割で、男女ともに正社員より非正規労働者の方が、そうした希望を多く持っている。

 統計は少し古いが、すでに副業がある人は268万人(17年、総務省「就業構造基本調査」)で就業者の4%に当たる。もっと多く働いて収入を得たい人の割合は、すでに副業をしている人と追加の就労希望者を合わせると、全就業者の約7%になる計算だ。14人に1人の割合になる。

ギグワーカーと企業をつなぐ

 昔に比べて、労働市場はより流動化している。今後の労働市場を考えるとき、企業に勤めている人、フリーランスで働いている人にかかわらず、多くの就業者が、過剰労働に…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。