海外特派員リポート

「コロナ禍の法人増税」英財務相は国民に何を訴えた

横山三加子・毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)
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予算案の入った赤い箱を手に報道陣の前に登場した英国のスナク財務相=ロンドンで2021年3月3日、横山三加子撮影
予算案の入った赤い箱を手に報道陣の前に登場した英国のスナク財務相=ロンドンで2021年3月3日、横山三加子撮影

 英国のスナク財務相は3月3日、2023年4月に法人税を引き上げる方針を発表した。大企業が対象で、現在の法人税の実効税率19%を25%にするという。

 歴史的に企業負担を軽くして経済成長を促す自由主義経済を主張してきた保守党政権だけに、法人税増税の表明は英国内でも驚きを持って報じられた。

 いつの時代も増税は国民や企業に不人気だ。欧州最悪の12万人超が新型コロナウイルス感染で亡くなる中、政府の増税表明は国民の支持が得られるのか。スナク氏の英議会の予算演説を聞き、考えた。

「必要なことは何でもやる」

 「必要なことは何でもやると言ってきた。私はやってきたし、これからもやっていく」

 予算演説の冒頭、スナク氏はこう切り出した。そして休業者の給与補償の延長、企業向け助成金の拡大、飲食店など打撃を受けた業界を対象にした付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)の減税延長など、コロナに苦しむ人々への支援策をテンポ良く打ち出した。

 昨年3月から始まった新型コロナ関連の英国政府の財政出動は21年度末までに4070億ポンド(約60兆円)になる見込みだ。

 スナク氏は40歳。祖父母世代がインドから英国に移民としてやってきた。英オックスフォード大卒業後、米ゴールドマン・サックスなど金融業界勤務を経て15年に英下院議員に初当選。20年2月に財務相に抜てきされた。直後から新型コロナ対応に奔走しており、手厚い給与補償などが好評で人気も高い。

 スナク氏は「ひとたびコロナから回復途上に入れば、私たちは財政を元に戻す必要がある。今日はそのための計画を正直に話したい」と語った。

膨らむ国の借り入れ

 背景にあるのが、新型…

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横山三加子

毎日新聞欧州総局特派員(ロンドン)

1981年、埼玉県生まれ。法政大学社会学部卒。2004年、毎日新聞社に入社。岡山支局、大阪本社経済部を経て13年から東京本社経済部。電機・通信業界、経済産業省や財務省、財界などを担当。19年10月から現職。