スルガ銀行 不正の構図

スルガ銀の元本カット「対象は数%」絞り込んだ仕組み

今沢真・経済プレミア編集部
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スルガ銀行東京支店=2020年11月
スルガ銀行東京支店=2020年11月

元本一部カットの通知(2)

 不動産向け不正融資問題で、スルガ銀行が購入者の一部に借金の元本カットを行うと通知したことが判明したが、カットを行うかどうか決める際に、厳しい基準を設け対象を絞り込んだことがわかった。基準は「銀行が関与して家賃一覧表(レントロール)の改ざんが行われた」など。不正が行われた融資物件のうち、元本カットの対象は基準により数%程度に絞り込まれたとみられる。

 同行は2月末までに「1棟物」と呼ばれる中古アパート、マンションの購入者に元本カットの有無を通知した。同行は内容を公表していないが、購入者の一部が4~13%程度のカット通知を受けた。一方、それ以外の購入者はカットを認められず、多額の借金を抱える状況が続いている。

「家賃一覧表」改ざんの有無

 購入者の代理人としてスルガ銀行と交渉した弁護士によると、交渉のなかで銀行側がカットを行う基準を示した。(1)物件の賃料収入と元利返済の差額が過去1年にわたり赤字(2)金利を1%に引き下げても赤字(3)融資時に「家賃一覧表」の改ざんがあり、改ざんに銀行の関与が認められる――だった。

 家賃一覧表の改ざんは、家賃を増やすか空室を減らす改ざんを行い、賃料収入を「水増し偽装」したものだ。購入者はこの一覧表と返済額を見て、借金返済が可能かどうかを判断する。銀行はこの一覧表の偽装が購入者の投資判断への影響の度合いが大きいとして、元本カットを行う基準に盛り込んだとみられる。

 一方、不正は家賃以外にも、預金通帳や源泉徴収票の改ざん、契約書の売買代金の偽造など多岐にわたる。弁護士側は「代金の一部に自己資金を充てたと偽装し、実際には全額融…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。