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「私は職場で浮いている?」そう感じた時の思考改革

舟木彩乃・産業心理コンサルタント・カウンセラー
 
 

 林さん(仮名、20代前半女性)は、新卒で不動産デベロッパーに入社しました。この会社は、入社後最初の1年は全員を営業部に配属させます。そこで基礎的な経験を積んで、2年目以降は、本人の希望やその時の人員配置の状況などに応じて、そのまま営業部に残る人と、他部署に行く人に分かれます。

 林さんは同期入社のAさん(20代前半女性)と一緒に、分譲マンションを中心に扱う営業部営業2課に配属されました。

同期のAさんは明るい性格

 大きな物件を扱うことが多い営業2課は忙しい部署です。課内の社員同士の交流は活発で、コロナ対策をしながら交流会などのイベントを開いたりしています。林さんは、どちらかというと消極的な性格で、営業の仕事や交流会などのときには自分が浮いた存在のように感じていました。

 一方でAさんは明るく自信に満ちたタイプです。イベントを開くときなど頼んでもいないのに林さんの分まで積極的に手伝うこともあり、周りから「2人は性格的に正反対」だと言われていました。

 2人で話す機会があると、Aさんは一部の課員で作っているプライベートのLINEグループのやり取りを見せてきました。林さんはそのグループには入っていませんでしたが、Aさんから「みんな林さんを誘いにくいから、やりとりは私に任せておいて」と言われました。林さんは、Aさんに引け目を感じると同時に、上司も他の課員も「みんな自分よりAさんの方が2課にふさわしいと思っているんだろうな」と考え、落ち込んでいました。

 最初の1年目が残り2カ月となった時、人事担当者との面談があり、「営業以外の仕事にも挑戦したらどうか」と言われ、林さんは「自分は営業に向いて…

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産業心理コンサルタント・カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。金融庁職員のメンタルヘルス対策にも従事する。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。