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“プチぜいたく”捉えた新幹線「グランクラス」の10年

土屋武之・鉄道ライター
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グランクラスの車内
グランクラスの車内

 2011年3月5日から東北新幹線「はやぶさ」で連結が始まった最上級車両「グランクラス」が、デビュー10周年を迎えた。

 グランクラスは、JR東日本が従来の“グリーン車”を上回るクラスと位置づけた車両だ。国際線のファーストクラスを意識した座席やくつろぎのスペース、専任アテンダントのおもてなしによる飲み物や軽食のサービスなどが人気を博し、多くのリピーターを獲得した。その後、北陸新幹線や北海道新幹線、上越新幹線にもサービスを拡大している。

 21年3月18日現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から営業を中止しているが、復活が待たれる。

ちょっと思い切ったぜいたく

 グランクラスはデビュー当時、その料金設定が話題になった。例えば東京-新青森でグリーン車を利用すると、料金は合計で2万2380円(21年3月現在、以下同)。これがグランクラス利用だと2万7620円になる。グリーン料金とグランクラス料金だけを比較すると5240円と1万480円となり、ちょうど倍だ。ただしトータルでは1.2倍ほどであり、設備差、サービス差を考えれば割安とも言える。

 グランクラスは、1960年代前半まで国鉄に存在した1等車によくなぞらえられる。だが当時の1等車の運賃・特急料金は、3等車(現在の普通車)の約3~4倍の値段を要し、庶民には縁遠い存在だった。

 これに対しグランクラスは、「ちょっと思い切ったぜいたく」レベルの絶妙なラインを狙って料金設定がなされたと言える。東京-新青森は、新幹線の普通車指定席だと1万7670円。グランクラス利用時との差額は1万円程度だ。これが戦後2番目の景気拡大局面となった2010年…

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土屋武之

鉄道ライター

1965年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学で演劇学を専攻し、劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。出版社勤務を経て97年に独立し、ライターに。2004年頃から鉄道を専門とし、雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事などを担当した。東日本大震災で被災した鉄道路線の取材を精力的に行うほか、現在もさまざまな媒体に寄稿している。主な著書に「ここがすごい!東京メトロ」(交通新聞社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。