スルガ銀行 不正の構図

スルガの「借金カット通知」購入者が納得しない理由

今沢真・経済プレミア編集部
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スルガ銀行の東京支店=2020年11月
スルガ銀行の東京支店=2020年11月

元本一部カットの通知(3)

 不動産向け不正融資問題で、スルガ銀行が1棟物の中古アパート、マンションの購入者の一部に対し、4~13%程度の借金の元本カットを通知したことが判明した。同行はこのカット率をどのように算出したのか。これで購入者が返済できる状態になるのだろうか。

 同行は通知の中身や元本カットの詳しい算出基準を公表していない。一方、購入者の代理人としてスルガ銀行と交渉した弁護士によると、銀行側は「金利を1%に引き下げても、収支が赤字になる物件」に限って元本カットを検討すると説明したという。

 「収支が赤字」とは、物件の賃料収入より借金の元利返済額が多いことを指す。その場合は賃貸不動産の運営が成り立たないことを考慮し、元本カットを検討するというわけだ。

「銀行から合理的説明はない」

 なぜ「金利1%」を基準としたのか、「銀行側から合理的な説明はされなかった」と弁護士は指摘する。スルガ銀行の不動産融資はもともと、3.5~4.5%という高い金利で実施された。融資に多数の不正が行われたことが発覚した後に、一部の購入者が交渉して金利を2%台に引き下げたケースがある。

 こうした過去の金利減免を考慮して今回、「金利1%」を新たな基準として設定した模様だ。金利1%は、元本カットの実額を算定する際の基準としても使われたようだ。スルガ銀行は5物件で元本の「4~13%程度」のカットを通知したが、これは、金利を1%に下げたときに、物件の収支が赤字にならない元本の額を計算した結果とみられる。

 実際に、銀行は購入者に対して元本カットの通知と合わせて「この先の金利は1%とする」と通知している。

大規…

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。