経済記者「一線リポート」

自転車でスーパー巡り「消費者物価」の意外な調べ方

赤間清広・毎日新聞経済部記者
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スーパーなどで私たちが買う生鮮食品の価格は全国の調査員を通じて消費者物価に反映される
スーパーなどで私たちが買う生鮮食品の価格は全国の調査員を通じて消費者物価に反映される

 長くデフレに苦しむ日本。日銀は消費者物価指数を前年比で2%上昇させる「物価安定の目標」を掲げるが、モノの価格はなかなか上がらないのが現実だ。

 ここで、ふとした疑問が浮かんだ。モノの価格を国はどうやって調べているのだろうか。取材を進めると、なんと全国に約900人いる調査員がスーパーなどを定期的に訪ね、実際に売られているモノの値段を確認しているのだという。

 しかし、こうした地道な物価調査の現場にいま、危機が訪れている。時代の変化で調査環境が年々悪化している状況に、新型コロナウイルスの感染拡大が直撃したのだ。物価調査の最前線で、いま何が起こっているのか。

全国の生鮮食品など調査

 東京都世田谷区内を自転車でさっそうと駆け抜けていく女性に出会った。フードコーディネーターとして活躍する都内在住の鮓本(すしもと)美保子さん(47)。2020年1月から総務省の物価調査の統計調査員を引き受け、世田谷区のほか品川区、目黒区にある計10店舗以上のスーパーをめぐり、売り場にある生鮮食品の価格を調べている。

 1カ月で調べる生鮮品は400品目以上。価格以外の変動要因を極力少なくするため、売り場にある平均的な大きさのものを選択。時には売り場にはかりを持ち込み、その場で計量することもあるという。

 セール日だったり、価格の変動幅が大きかったりした場合、スーパーの店員に直接「取材」し、通常時の価格や値段高騰の要因を聞き出す。1カ月のうち3分の1以上はこうした調査、報告に費やすという。

 消費者物価などの基礎データを収集する「小売物価統計調査」は、全国に配置された鮓本さんのような調査員の活動に支えられている。

 調査方法も…

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赤間清広

毎日新聞経済部記者

 1974年、仙台市生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。16年4月に中国総局(北京)特派員となり、20年秋に帰国。現在は霞が関を拠点に、面白い経済ニュースを発掘中。新著に「中国 異形のハイテク国家」(毎日新聞出版)