スルガ銀行 不正の構図

スルガ銀から「借金カット拒否」購入者の“絶望の淵”

今沢真・経済プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷
男性会社員が保有する物件。スルガ銀行から元本カットを認められなかった
男性会社員が保有する物件。スルガ銀行から元本カットを認められなかった

元本一部カットの通知(4)

 東京都世田谷区に住む男性会社員(43)は、いま“絶望の淵”にいる。スルガ銀行から約2億円を借りて6年前に郊外の中古アパートを購入し、返済が難しい状況に陥った。不正があったとして、銀行に借金の「元本カット」を求めたが拒否された。「銀行も不動産業者も、ウソで塗り固められた言動を繰り返してきた」。男性の正直な思いだ。

行員が「すてきな投資です」

 「問題ありません。すてきな投資です。自分も銀行員でなければ投資したい」。行員の言葉に乗って築24年のアパートを買った。金利は4.5%。業者が家賃保証した全32室の賃貸物件だった。「29室が入居中で、空室もすぐ埋まる」と言われた。

 だが、24室分の賃貸契約書しか渡されなかった。「足りない」と言うと、業者や行員は「家賃保証しているんだからいいじゃないですか」と口をそろえた。購入から2年もたたずに家賃が滞り始め、返済分に足りなくなった。

 「だまされた。不正があった」と繰り返し訴え、金利引き下げや元本カットを求めた。行員にようやく会えると、「致命的ではないので大丈夫ですよね。契約しましたよね」と言われた。金利は1年前にやっと1.5%に下がったが、「1年限定」だった。

銀行は「一切知らない」

 弁護士に交渉を依頼した。昨年5月、銀行から融資当時の審査資料の開示を受けた。源泉徴収票、預金通帳の写し、家賃一覧表(レントロール)。どれも改ざん、偽造のオンパレードだった。

 「家賃一覧表が偽装されていた」と銀行にねじ込んだ。だが、銀行から「一切知らない。こちらは不動産会社から正規なものとして提出を受けている。不動産会社に一任され…

この記事は有料記事です。

残り595文字(全文1289文字)

今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。