産業医の現場カルテ

産業医が指南「衛生委員会」を会社はどう生かすか

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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衛生委員会の役割(1)

 和田さん(仮名、30代男性)は、従業員数約60人のITベンチャー企業で総務担当を務めています。産業医である私は昨年、この会社の「衛生委員会」に参加しました。その席上、従業員の発言をきっかけに、和田さんと在宅勤務の課題を解決するための対策を行うことになりました。

現場からの声

 衛生委員会は、職場の健康被害の防止策を行ったり、そのための調査をしたりする組織で、経営側と従業員側の双方からなる委員で構成します。従業員50人以上の事業所に設置義務があり、月1回開催しなければなりません。この会社では、和田さんが率先して衛生委員会の設置を進めました。

 私が参加したのは、この会社の産業医になってから日が浅く、衛生委員会が設置されたばかりのタイミングでした。

 委員会では、委員の一人でシステムエンジニアの従業員が「コロナ禍で在宅勤務が基本になり、同僚たちから『気がめいってしまう』という話を聞きます」と発言しました。業務中に連絡が取りにくいことがあり、そうなると調子が悪いのではないかと心配になる人がいるそうです。

 この従業員は「この場でいうべきことなのかわかりませんが……」とちゅうちょした様子でしたが、他の委員からも「確かにそうだ」と同意する声が上がりました。

 昨年来のコロナ禍で在宅勤…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。