毎日家業×創業ラボ

みやじ豚が拓いた「口コミ・流通イノベーション」

永井大介・毎日みらい創造ラボ・アクセラレーター
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バーベキューに訪れた客と談笑する宮治勇輔さん=本人提供
バーベキューに訪れた客と談笑する宮治勇輔さん=本人提供

 農業を「かっこよくて・感動があって・稼げる新3Kにする」と大きな志を持ち、父昌義さんから実家の養豚業を引き継いだ宮治勇輔さん(42)。養豚業界の課題に気づき、銘柄豚の制約から脱却して「みやじ豚」としてブランド化を進めていきます。連載3回目は、宮治さんが「バーベキュー・マーケティング」と呼ぶブランディングの手法を探ります。

私の家業ストーリー<3>

 農家に価格決定権がなく、しかも農家の名前が消されて流通している――。宮治さんは、養豚農家が抱える課題を見つけた。その課題解決のために、従来の地域の銘柄豚という枠組みから脱却し、自分たちの育てた豚肉を「みやじ豚」として食べてもらうための施策として、バーベキューを定期的に実施することにした。

 そうすれば、みやじ豚のおいしさを直接、お客さんに知ってもらうことができ、食べた感想を直接聞くこともできる。さらには、価格設定も自分でできる。

 2005年7月に神奈川県藤沢市の実家に戻ると、バーベキューを開催する準備に入った。といっても、トングや鉄板の準備をしたわけではない。向かった先は、パソコンショップだった。そこで2万円の名刺管理ソフトとメール一斉配信ソフトを購入した。実家に戻って初めて行った事業への投資だった。

宮治さんの「バーベキュー・マーケティング」

 実家に戻る前、人材派遣大手パソナに勤務していた頃から、起業志向が強かった宮治さん。平日は早朝から起業のために勉強し、土日は実践型インターンシップなどを提供するNPO法人「エティック」に出入り…

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永井大介

毎日みらい創造ラボ・アクセラレーター

 1975年神奈川県生まれ。住友銀行(現三井住友銀行)を経て2000年、毎日新聞社に入社。山形支局、東京社会部を経て、東京経済部で中央官庁や日銀、自動車、鉄道などを担当した。17年からベンチャー支援を行い、30社以上の立ち上げに関わったほか、毎日新聞社の新規事業創出も担っている。NEDO高度専門支援人材フェロー。実家は神奈川県厚木市の測量会社。