米国社会のリアル

コロナ禍のカリフォルニア「大麻は生活必需品」の奇妙

樋口博子・ロス在住コラムニスト
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筆者の自宅近くの大麻取扱店=カリフォルニア州で
筆者の自宅近くの大麻取扱店=カリフォルニア州で

 大麻(マリフアナ)は日本では法律で厳しく規制されていますが、私が暮らすカリフォルニア州では医療用、嗜好(しこう)用ともに合法です。その大麻をめぐり、州内で不思議なことが起きています。

 それはコロナ禍で州政府が、カナビス(connabis)と呼ばれる大麻取扱店を生活に必要な「エッセンシャル・ビジネス」に指定し、昨年3月の最も厳しいロックダウンの際にも通常の営業を許可していたことです。

 大麻の吸引は、たばこと同じくコロナ感染のリスクが高いのではないかとの指摘があります。しかし飲食店やサービス業(散髪、ネイル、マッサージなど)が州政府から厳しい営業制限を受ける中、大麻はミルクやパンなどの「生活必需品」と同じ扱いとなったのです。

 これだけでも驚きですが、コロナワクチンの接種が始まると、大麻取扱店で働く人は医療従事者と同じく「最優先接種」の対象者となりました。行政側は「医療用大麻も扱うから」と説明しますが、限られたワクチンの接種を、多くの教師や警官、消防隊員などより優先して受けられるという判断には強い違和感を覚えました。

3年前までは違法

 カリフォルニア州は世界最大の合法大麻市場と言われます。ですが嗜好用大麻が解禁となったのは2018年1月です。3年前までは日本と同様に違法でした。米連邦法では現在も違法です。

 1996年に医療用大麻を米国内で初めて合法化したカリフォルニア州ですが、嗜好用大麻の合法化に向けては負の側面が指摘され、保守層や警察を中心に抵抗がありました。

 しかしふくらみ続ける闇市場が反社会勢力の資金源となることへの懸念や、依存症などの問題は刑罰を与えても解決しないといった…

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樋口博子

ロス在住コラムニスト

 兵庫県生まれ。ロンドン大修士(開発学)、東大博士(国際貢献)。専攻は「人間の安全保障」。2008年、結婚を期にロサンゼルスに移住。渡米前はシンクタンク、国際協力銀行、外務省、国際NGOで開発途上国支援に取り組んだ。米国で2019年に独立。地元コミュニティーを地域や日米でつなぐ活動をしている。カリフォルニア州議会下院議員アル・ムラツチ氏(民主党)は夫。