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2年後開始「相続登記の義務化」違反問われるケースは

渡辺精一・経済プレミア編集部
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相続登記の大転換(1)

 相続で受け継いだ土地・建物の登記申請が義務化される。誰が所有しているのかわからない「所有者不明土地」の解消が狙いで、関連法案が今国会に提出されており、2023年度に施行の見通しだ。何が変わり、どう対応すればいいのだろうか。

所有者不明土地の面積「九州超え」

 所有権や抵当権など「土地や建物の所有者は誰か」を示す登記には現在、法的な義務がない。権利に関する登記は「第三者に権利を主張するためのもの」であり、必要に応じて登記すれば十分と考えていたためだ。

 だが、このため、相続登記せずに放置されて所有者がわからない「所有者不明土地」が増えている。こうした土地は、周辺環境を悪化させたり、公共事業や災害復旧など土地活用の妨げになったりして、社会問題化している。

 16年の地籍調査では登記簿の約2割が所有者不明土地にあたり、全国では410万ヘクタールと九州の面積を超える規模とみられる。増田寛也・元総務相を座長とする民間有識者研究会は17年の報告書で、何も対策がなければ40年には720万ヘクタールに広がり、約6兆円の経済的損失をもたらすと試算した。

 こうしたなか国は従来の土地政策を大転換している。20年に土地基本法を本格改正し、土地所有者の責務を明確化した。今回は、その総仕上げとして民法や不動産登記法を改正する。

 法改正の柱は、相続登記の義務化だ。相続が起き、登記されている名義人から不動産を取得したことを知ってから3年以内に相続登記の申請をしなければならない。正当な理由がないのに申請しなければ10万円以下の過料を科す。

 法施行時点で、名義人が亡くなってからかなりの期間…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。