海外特派員リポート

「ニュースはただ?」欧米政府とグーグル・FBの攻防

中井正裕・北米総局特派員(ワシントン)
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米IT大手グーグル本社=米カリフォルニア州で2020年2月、中井正裕撮影
米IT大手グーグル本社=米カリフォルニア州で2020年2月、中井正裕撮影

 最近はインターネット上でニュース記事が無料で表示されることが多いが、本来その記事を作成している報道機関はどのように対価を得るべきか――。ネット検索や交流サイト(SNS)に表示されるニュース記事の対価支払いを巡り、各国政府とIT大手との攻防が激化している。

 オーストラリア政府は2月、米IT大手グーグルとフェイスブック(FB)に記事使用料の支払いを事実上義務付ける世界初の法律を制定した。欧米にも同様の動きが広がるなか、グーグルとFBは報道機関に利用料を支払う形の新たなニュースサービスを展開し、規制強化の動きに対抗している。

広告のネットシフトで苦境に立つ報道機関

 「豪州の報道機関が公正な対価を得られるようになり、公共の利益にかなうジャーナリズムの存続を支えるだろう」

 豪州議会で2月25日、「ニュースメディア交渉法(News Media Bargaining Code)」が成立したことを受け、フライデンバーグ豪財務相は法律の意義をこう強調した。

 この法律は、豪州内のニュースのネット配信で圧倒的なシェアを持つグーグルとFBに対し、検索結果やSNSに表示されたニュースの記事使用料支払いを事実上義務付けた。

 具体的には、両社と豪メディアの価格交渉を義務付け、交渉が不調に終わった場合、仲裁機関が適切な対価の水準を決定。法律に従わなければ1000万豪ドル(約8.3億円)以上の罰金を科す仕組みだ。

 法律制定の背景には、新聞やテレビなど報道機関の収益源の一つだった広告市場の急激なオンラインシフトがある。

 電通グループの市場調査によると、世界の広告市場の媒体別シェアで、オンライン広告は2018年…

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中井正裕

北米総局特派員(ワシントン)

1975年京都府生まれ。立命館大学法学部卒。2000年毎日新聞入社。岐阜支局、中部報道センターを経て、09年から経済部で電力改革、貿易交渉、日銀などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。18年10月から現職。