経済記者「一線リポート」

柏崎刈羽原発「不祥事続出」東電に再稼働の資格あるか

工藤昭久・毎日新聞経済部記者
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不祥事が次々と発覚した新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=2017年9月30日、本社機「希望」から西本勝撮影
不祥事が次々と発覚した新潟県の東京電力柏崎刈羽原発=2017年9月30日、本社機「希望」から西本勝撮影

 東京電力福島第1原発事故の発生から10年。収益改善策の切り札として政府や東電が年内の再稼働を目指していた新潟県の柏崎刈羽原発を巡り、テロなどに備えるセキュリティー対策上の問題が発覚。原子力規制委員会が3月24日、同原発の核燃料の移動を禁止する改善命令を出すことを決めたため、年内の再稼働は絶望的となった。

 柏崎刈羽原発を巡る相次ぐ不祥事は、事故を起こした東電が再び原子力事業を営む事業者として適格なのか疑義を与えかねない。東電の経営再建や原子力事業を巡る事業者間の協業にも影響を与えるのは必至だ。

セキュリティー対策は「最悪レベル」

 柏崎刈羽原発を巡っては年明けから失態が続出している。東電社員が2020年9月、他人のIDカードを使って中央制御室に不正入室していたことが今年1月に発覚。その後、「完了した」と発表していた7号機の安全対策工事が未完了だったことも明らかになった。

 そして原子力規制委員会は3月16日、原発内の監視装置が故障していたと発表。外部から不正な侵入を許す恐れのある状況が20年3月から続いていたとして、4段階あるセキュリティー対策のうち「最悪レベル」の評価を下した。そして、24日にはテロ対策の不備を踏まえて、事実上の運転禁止ともいえる改善命令を出す方針を決めた。

 政府は福島第1原発の廃炉など事故処理費用を約21.5兆円と見積もっており、そのうち約16兆円を東電が負担する計画になっている。1基稼働すれば年900億円規模の利益改善効果が見込まれる柏崎刈羽原発の再稼働は、東電の経営再建と事故処理費用の捻出に欠かせない切り札と位置付けられてきた。

 経済産業省幹部は「柏崎刈羽…

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工藤昭久

毎日新聞経済部記者

 1974年生まれ。立教大学法学部卒。生命保険会社勤務を経て、2000年毎日新聞社入社。静岡、浜松支局を経て04年から東京経済部。財務、総務、経済産業、農林水産などの中央官庁や産業界、金融業界、財界などを幅広く取材。18年4月から大阪経済部編集委員として関西経済を取材。20年4月から経産、農水両省、エネルギー業界の取材を束ねるキャップ。