株主になったら

コロナ対策を理由に「株主総会に来場拒否」は原則違法

中西和幸・弁護士
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「検温の実施」を会場の入り口前に告知した東芝の臨時株主総会=東京都新宿区で2021年3月18日、今沢真撮影
「検温の実施」を会場の入り口前に告知した東芝の臨時株主総会=東京都新宿区で2021年3月18日、今沢真撮影

コロナ禍と株主総会(2)

 コロナ禍のなか開かれた株主総会で、大半の会社は、株主に「来場自粛」のお願いをしました。「入場拒否」の対象は、37.5度以上の発熱があり他の株主や役員、社員に新型コロナウイルスを感染させる恐れがある場合に限定されました。

 一方、毎年多数の株主が来場する会社で、事前に抽選を行い出席数を制限するケースがありました。当選メールの画面やプリントアウトを来場時に確認し、確認できなければ入場を認めませんでした。株主に事前登録してもらい、来場人数を把握した会社もありました。

1983年の最高裁判決

 株主総会への株主の出席を会社が拒否することは、1983年6月の最高裁の判決で否定されています。この裁判は、当時上場していたチッソ株式会社が、71年5月の定時株主総会で一部株主の出席を拒否した問題で争われたものです。

 当時、水俣病の被害者による「1株運動」が行われ、会社は1株運動に参加した株主のみを排除しようとしました。そして1株運動の株主による動議を無視したり、力により質問を封じたりして株主総会を5分間で終了させたのです。約50年前のことですが、今では考えられない株主総会でした。

 判決は、この株主総会決議を取り消しました。判決理由を要約すると「株主の権利の本質は、最高の意思決定機関である株主総会で、議決権行使により会社の支配ないし経営に参加すること」といったものでした。

 株主が株主総会に出席することを会社は妨害してはならない、と最高裁が宣言したのです。たとえコロナウイルスの流行があっても、それだけの理由で株主の出席を制限することは、原則として違法となると考えられます。

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中西和幸

弁護士

1992年東京大学法学部卒。95年弁護士登録。上場企業の社外取締役、社外監査役を務め、企業法務に詳しい。共著に「会社役員の法務必携」(清文社)、「企業法務からみた株式評価とM&A手続き」(同)、「『社外取締役ガイドライン』の解説」(商事法務)、「企業不祥事インデックス」(同)など。