スルガ銀行 不正の構図

田園調布駅近くの賃貸物件「だまされた」購入者の怒り

今沢真・経済プレミア編集部
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東急・田園調布駅=2020年3月19日、今沢真撮影
東急・田園調布駅=2020年3月19日、今沢真撮影

元本一部カットの通知(6)

 東急東横線・田園調布駅の周辺は、東京でも有数の高級住宅街だ。駅から数分歩くと1棟のシェアハウスにたどり着く。シェアハウスといっても経営破綻して社会問題となった「かぼちゃの馬車」とは異なる。鉄筋コンクリート3階建て。近くの設計士が建てて所有していた築32年の物件だ。

 駅方向に伸びる通りに面し、1階は店舗、2、3階がシェアハウスで9室ある。ソファのある談話室や共用キッチン、風呂を備えた“本格的なシェアハウス”だ。そんな設備は、実質ミニアパートだった「かぼちゃの馬車」にはなかった。

敷地内に違法建築物

 物件はいま、50代後半の男性会社員=北関東在住=が所有している。不動産投資に興味があり、2014年に物件を紹介された。不動産仲介業者から「入居率が高く、高い利回りが期待できる」と勧められた。スルガ銀行から全額、融資されるという。

 当時、敷地内に小さなカフェが建っていた。前所有者の設計士が趣味を兼ねて建てた、木造の違法建築物だった。「カフェの撤去が融資の条件です」とスルガ銀行の行員から言われ、仲介業者が撤去するというので購入契約にサインした。融資を受けた額は1億7000万円だった。

 ところが購入後、シェアハウス入居者の連名で「カフェは撤去しないでほしい」との内容証明書が届いた。融資が実行されて購入したが、その時点では撤去されていなかったことがわかった。その後、業者が撤去したが、このトラブルで出て行った入居者もいた。「確認もしないで融資するなんて、銀行はいいかげんだ」と思った。

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今沢真

経済プレミア編集部

1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀キャップ、財研キャップ、民間企業キャップを歴任。2013年論説委員。15年経済プレミア創刊編集長。19年から同編集部。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」など。16~18年度城西大非常勤講師。