ニッポン金融ウラの裏

みずほ銀トラブルで金融庁が問題視する「送金障害」

浪川攻・金融ジャーナリスト
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システム障害についての質問に答えるみずほ銀行の藤原弘治頭取=東京都千代田区で2021年3月12日、梅村直承撮影
システム障害についての質問に答えるみずほ銀行の藤原弘治頭取=東京都千代田区で2021年3月12日、梅村直承撮影

 みずほ銀行は2月28日の現金自動受払機(ATM)停止以降、4度にわたるシステムトラブルを短期間に引き起こした。そこから垣間見えるのはシステムのハードの問題だけではない。「ITシステムに関するガバナンス(統治)が経営陣に欠けているのではないか」という経営の根幹の問題だ。

 4度のシステムトラブルのうち、他と性質的な違いが際立つのが3月11~12日に発生した263件の送金障害だ。法人顧客の取引が大半で、国内他行向けの外貨建ての送金で障害が起きた。金額は約500億円にのぼる。

企業の外貨送金で障害

 金額が多額なのは、銀行が大手企業向けに提供している「キャッシュマネジメントシステム」(CMS)と呼ばれる業務の送金だったからだ。同業務は企業グループ内の資金の動きを可視化し、グループ内で資金融通したり取引の相殺をしたりして資金効率を高めるものだ。

 この資金管理システムの一部で送金障害が発生すると、相殺すべき資金のやりとりが相殺できずに終わることがあり、1企業の問題がグループ企業に波及しかねない。グループ外の企業に資金不足が発生する可能性もある。

 グローバルに活動している企業の場合、海外支払いなど外貨送金は日常的に行われている。相手が海外だと、慣行の違いや時差なども加わり、潜在的なリスクの可能性は高くなる。金融庁は「すべての障害が問題だが、送金障害の問題は重い」という認識を持つ。

 障害は、基幹システムに取引データを送る機器が壊れ、バックアップ機器への切り替えに失敗したことが明らかになっている。みずほは現時点で、送金障害とATM障害など他のトラブルとの関連はないと説明しているが、金融庁が行う…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。