地域で光る小さな会社

絹織物の街・富士吉田で「綿シフト」に成功した会社

櫻田弘文・クエストリー代表取締役
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吸水性のよいオーガニックコットンのハンカチ=筆者提供
吸水性のよいオーガニックコットンのハンカチ=筆者提供

 山梨県富士吉田市を拠点に綿織物とそのオリジナル製品の企画販売を手がける「前田源商店」は、世界的にも貴重なオーガニックコットンを国内で扱い始めた先駆的な会社だ。富士吉田市はもともと絹織物の名産地で、同社も主に絹を扱ってきたが、市場の流れにほんろうされながらも現在の事業へと転換し、順調に売り上げを伸ばしている。一方で、新たな課題にも直面している。

世界の全綿花生産量の約1%

 オーガニックコットンは有機肥料で育て、害虫駆除にも殺虫剤を使わず、カマキリやクモなどの益虫を利用する。遺伝子を組み換えていない綿花で、その一つ一つを人の手で摘むため手間はかかるが、農薬などを使わないため農家の健康を損なう恐れがない。完成した生地は漂白や染色をせず、自然のままに仕上げる。作り手にも使い手にも環境にもやさしい素材だ。

 同社3代目の前田市郎さん(65)は「一般に流通するコットンとオーガニックコットンとでは、生産過程から生地作りまで大きく異なります。世界の全綿花生産量のなかでオーガニックコットンの割合はわずか1%ほどしかありません」と話す。

 しかしオーガニックコットンは、通常のコットンと見た目で区別できない。そのため、収穫から製造、製品まで環境に配慮したオーガニックコットンであることを示す世界的な認証ルール「グロー…

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櫻田弘文

クエストリー代表取締役

1955年山梨県生まれ。日本大学卒業後、78年に販売促進の企画・制作会社に入社。2001年、クエストリーを設立して独立。中小企業経営者向けの「クエストリー・ブランディングクラブ」を主宰する他、数多くの専門店や飲食店のブランディングを実践的に指導している。