経済記者「一線リポート」

原発事故10年を前に出した東電関係者への手紙

  • 文字
  • 印刷
東京電力本店=東京都千代田区で、曽根田和久撮影
東京電力本店=東京都千代田区で、曽根田和久撮影

 「拝啓、東京電力元会長 勝俣恒久様」――。東京電力福島第1原発事故から10年を控えた今年1月、事故前後の東電の経営陣や、電力業界を管轄する経済産業省幹部ら50人に、取材依頼の手紙を送付した。国策民営で進めてきた原子力政策の反省や事故の教訓などの思いを聞く狙いだったが、ほとんどが取材拒否だった。この10年間で関係者の多くが現役から退いた。外部に語られない事故関係者の記憶は、果たして次世代に継承できるのだろうか。

関係者50人に送付

 手紙は、東電の元経営幹部25人、経産省OB15人、政府の事故検証委員会などに携わった財界関係者10人に送付した。事故対応や原子力政策に関わってきた50人をリストアップ。東電の経営改革の課題や、なぜ事故を防げなかったのかなどの質問をA4用紙2枚にまとめ、1月13日に投函(とうかん)した。手紙には匿名でも可能とする旨も記載した。

 その翌日には、電力会社側に核燃料の再処理撤退を持ちかけた一人とも言われている村田成二・元経産事務次官(在任2002~04年)からメールで返答があったが、「記憶も曖昧でお断り申し上げます」と書かれていた。また、事故当時に在任していた松永和夫・元次官(10~11年)から届いた直筆のはがきには「取材は差し控えたい」などと記載されていた。

取材に応じた経産省OB

 送付した関係者に初めて接触できたのは1月28日。事故直後、東電を法的整理すべきだと訴えていた経産省OBの古賀茂明氏だった。古賀氏は「経産省の役人を省内の廊下で捕まえて『東電を存続させるべきではない』と話そうとしたら、隅に追いやられて『そんなことを言わないでください。電気が止…

この記事は有料記事です。

残り1248文字(全文1944文字)