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相続で得た「お荷物不動産」国庫帰属の新制度は朗報か

渡辺精一・経済プレミア編集部
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相続登記の大転換(2)

 誰のものなのかわからない「所有者不明土地」が社会問題化するなか、その解消を狙う関連法案が今国会で審議中だ。相続登記申請の義務化が目玉だが、相続した土地の所有権を放棄して国に引き渡すことができる「国庫帰属」制度も新設される。売るに売れない土地を持て余す人は少なくない。新制度は期待できるだろうか。

はっきりしない「国庫への帰属」

 地方にある実家や農地・山林などを相続で引き継いだものの、買い手や借り手が見つからず、持て余すケースが増えている。人口が減少するなか、土地利用のニーズが低下しているためだ。

 こうした不動産は、収益を生まないばかりか、所有しているだけでも管理費用や税などのコストがかかることから「負動産」と呼ばれることもある。

 国土交通省が2018年、利用していない土地を所有する5000人に行った調査では、47%が土地の所有を負担に感じており、57%は、それを「相続させたいと思わない」と回答した。同省が17年、約1600人(有効回答数)に行った別の面接調査では77%が「所有している土地が不要になった場合、所有権の放棄を認めてもよい」とした。

 だが、相続した土地の所有権を放棄するのは事実上極めて困難だ。民法(239条第2項)は、所有者のいない不動産は「国庫に帰属する」と規定する。だが、所有者がいる不動産については、その所有権を放棄すれば所有者のいない不動産になるのかどうかについては条文がなく、最高裁判例もないため、はっきりしない。

 島根県の山林所有者が、その所有権を放棄して、国がその登記名義を引き取るように求めた裁判で、16年の広島高裁松江支部判決は…

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渡辺精一

経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。