
木村さん(仮名、20代後半男性)は、小売業の本社総務課(5人)に所属しています。おとなしい性格で口下手なところがありますが、頼まれた仕事を丁寧にする人です。
総務課は、社長室の掃除を課員が交代で担当しています。夕方、担当の1人が個室の社長室に入って掃除をします。
ある朝「社長が怒っている」
ある朝、木村さんが出社すると課長(40代後半男性)が、「今朝、社長が出社したら社長室の鍵が空いていたそうだ。デスクに置いていたメモもなくなっていたみたいで、かなり怒っている」と言ってきました。そして課長は木村さんに「昨日の掃除当番は君だよね?」と確認してきました。
社長室の鍵を持っているのは、社長本人と総務課で、掃除が終わったら鍵を掛けて所定の位置に戻すことがルールになっています。
昨日、社長室の掃除をしたのは木村さんですが、デスクにメモが置かれていた記憶はなく、鍵もかけたはずでした。それを課長に伝えると「とにかく社長のところへ行こう」と、課長と一緒に社長室に向かいました。
取り調べを受けているような…
社長(50代後半)は、いつもピリピリしている印象があり、社員に恐れられています。社長室では機嫌の悪い顔をした社長が2人を待っていて、開口一番、「今朝は、部屋の鍵が開いていたぞ。デスクに置いておいたはずのメモもない。大事な情報を書いていたのに!」と怒鳴りつけたそうです。
課長は、管理の不備を謝罪し、木村さんに昨日の掃除の状況について話すよう促しました。木村さんは、掃除のときはデスクの上のものは触らないようにしていることや、昨日は確かに鍵を掛けたことを説明しましたが、「では他に誰がやったの…
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