産業医の現場カルテ

設置だけではNG「衛生委員会」を職場改善に生かす方法

佐藤乃理子・産業医・労働衛生コンサルタント
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衛生委員会の役割(3)

 従業員数約60人のITベンチャー企業で総務担当を務める和田さん(仮名、30代男性)は昨年、社内に衛生委員会を設置しました(前回参照)。その設置にかかわった産業医の私は、初会合の後、和田さんと今後の衛生委員会の進め方について話をしました。

 和田さんは「衛生委員会の会合は貴重な業務時間を割いて開催するので、実りあるものにしたいです。どのようなことをしていけばいいでしょうか」といいます。

 衛生委員会は、従業員が仕事中に健康障害を引き起こさないようにしたり、従業員の健康の維持や増進を図ったり、危険な業務の改善を検討したりすることが求められます。委員が持つ職場の課題を話し合ったり、従業員の健康に関する社内データから課題を探り、その対策を会社(経営層)に求めたりすることもできます。

労使双方の意見を伝える貴重な場

 こうした目的を果たしていくためにも、委員たちが従業員の働く環境を改善し続けていこうという意欲を持つことが大切です。衛生委員会は、会社側と従業員側の双方が意見を直接伝え合える貴重な場です。

 そして、和田さんのような衛生管理者は、議論を上手に進めたり、課題の解決に率先して動いたりしていく役割が求められます。

 従業員側から出される提案や課題にはさまざまなものがあるでしょう…

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佐藤乃理子

産業医・労働衛生コンサルタント

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究にあたった。10年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、13年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。15年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。20年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルのあり方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。