ニッポン金融ウラの裏

野村巨額損失「パリバ・ショック」の二の舞いになるか

浪川攻・金融ジャーナリスト
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=2019年4月15日、曽根田和久撮影
=2019年4月15日、曽根田和久撮影

 金融資本市場に不安心理がくすぶっている。その理由は、野村ホールディングスなどが米国で直面し公表した「巨額損失発生の可能性」の事案にほかならない。一部メディアは、野村ホールディングスのリスク管理の甘さを話題にしているが、金融関係者の注目点はそこにはない。2007年8月の出来事が脳裏をよぎっているからだ。

 07年8月の出来事とは、世界規模の金融危機、リーマン・ショックの前哨戦とも言える「パリバ・ショック」である。仏金融大手BNPパリバが傘下ファンドの解約、返金を突然凍結し、世界同時株安が起き、金融市場が大混乱した。パリバのファンドは、世界的なカネ余りのなかで「サブプライムローン」と呼ばれる高いリスクのローンを組み込んだ証券化商品を拡大させていた。

 その後、金融当局の緊急的な対応などによって混乱は収まったかにみえた。だが、ほぼ1年後の08年9月にリーマン・ショックの火が噴いた経緯は、いまだに金融資本市場関係者の間では記憶に新しい。

池尾和人氏の警鐘

 いま、金融資本市場のプレーヤーの間に漂う不安は「07年から08年の再燃にならないか」(外資系投資銀行関係者)という懸念に根差している。

 パリバ・ショックからリーマン・ショックに向かう流れをたどってみよう。世界的な金融緩和で生じた過剰流動性(カネ余り)が、信用力の低いサブプライムローン資産の市場価格を押し上げた。それを担保に何倍もの取引を行う「ハイレバレッジ取引」で証券化商品が現実離れした価格に上昇した。しかし、その危うさが認識され市場が崩壊していった。

 今年2月に他界した慶応義塾大学名誉教授で経済学者の池尾和人氏は、その著書「連続講義…

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浪川攻

金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。