経済記者「一線リポート」

大阪・黒門の「反省」から学ぶコロナ後の訪日客政策

小坂剛志・毎日新聞経済部記者
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訪日客がいなくなり、人通りが激減した大阪・黒門市場=大阪市中央区で2021年2月22日、小坂剛志撮影
訪日客がいなくなり、人通りが激減した大阪・黒門市場=大阪市中央区で2021年2月22日、小坂剛志撮影

 新型コロナウイルス感染拡大で大きな打撃を受けている観光業界。政府は2030年に訪日外国人観光客を6000万人にするという目標を堅持しているが、コロナ後もこれまでと同じ手法でいいのだろうか。「インバウンド(訪日外国人客)集客の成功例」から一転、シャッターが目立つようになった大阪・黒門市場(大阪市中央区)の「反省」から、コロナ後の観光を考えた。

コロナで「天国から地獄」

 「もう天国から地獄ですよ。ほんまに人が歩いてないんですから」。黒門市場商店街振興組合の吉田清純さん(72)があきらめたように話した。「天下の台所」として知られ、大阪の食を支えてきた黒門市場。11年ごろから訪日客が増え始め、店頭で刺し身や牛串を売る「食べ歩き」のスタイルが人気を集めた。

 5年前、黒門市場を取材した時はインバウンド特需に沸き、平日の朝でもスーツケースを手にした訪日客らであふれていた。通行者数は1日当たり3万人に上り、通りをすれ違うことが難しいほどだった。店先でフグの刺し身を頰張る訪日客もおり、次々と新しい店が進出した。訪日客の急増に対応するため、吉田さんらはトイレ付きの休憩所を設置。菅義偉首相が官房長官時代には視察に訪れ、まさに「インバウンド集客の成功例」だった。

遠のいた日本…

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小坂剛志

毎日新聞経済部記者

 1980年山口県生まれ。関西学院大卒。松江や高知、奈良支局を経て15年から大阪経済部。2019年から東京経済部で自動車業界、国土交通省を担当。21年春から再び大阪経済部。