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理念を引き継ぐ!ヒルトップの「人間らしく働く」

入山章栄・早稲田大大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授
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無人の状態で稼働する京都・宇治の金属加工会社「HILLTOP」(ヒルトップ)の工場=同社提供
無人の状態で稼働する京都・宇治の金属加工会社「HILLTOP」(ヒルトップ)の工場=同社提供

 入山章栄・早稲田大大学院教授の連載「未来を拓(ひら)く経営理論」は、世界の経営学の知見をビジネスパーソンが実践できる形で分かりやすく紹介していきます。今回取り上げるのは、京都・宇治の金属加工会社「HILLTOP」(ヒルトップ)。時代を超えて創業家が引き継いできた理念が、この会社を「特別な存在」にしています。

未来を拓く経営理論

 前回まで、トヨタ自動車の豊田章男社長を例に、ファミリービジネスについて考えてきました。今回ご紹介するのは、京都・宇治の金属加工会社「HILLTOP」(ヒルトップ)です。実は、この会社には、日本中の製造業からの視察が絶えません。そのくらい注目されている会社なのです。そしてその背景には、親子が根底に持つ考え方を引き継ぎ、会社を進化させた経緯があります。非常に興味深い事例なのです。

 ヒルトップは、トロフィーや試作模型といった「一品もの」を作る専業の会社です。特にいま国内外から視察申し込みが殺到しているのは、「たくみの技」を人工知能(AI)の一つである機械学習に学ばせ、製造の自動化に成功したからです。

 繊細な作業を必要とする「一品もの」は、通常は職人さんが「たくみの技」を注ぎ込む必要があります。3年ほど前に同社を訪問した際、私は「たくみの技はAIにはマネできないはず。職人さんの微妙な手の動きを機械に模倣させるのは難しいのではないですか」と半信半疑で伺いましたが、創業家出身の山本勇輝さん(現在は同社常務)は「できます」と、あっさりしたものでした。実際、職人さんの…

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入山章栄

早稲田大大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授

 1972年生まれ。慶応大学経済学部卒業。米ピッツバーグ大経営大学院から博士号を取得。2013年に早稲田大大学院准教授。19年から現職。世界の経営学の知見を企業経営者やビジネスパーソンが実践できる形でわかりやすく紹介している。主な著書に「世界標準の経営理論」(ダイヤモンド社)など。