
携帯大手ソフトバンクは4月1日、驚きの内容が書かれた1枚のリリースを発表した。「当社代表取締役社長 宮川潤一による200億円規模の当社株式の取得について」との表題がついていた。この日副社長から社長に昇格した宮川氏(55)が、会社から融資を受けて市場から自社株を購入するというのだ。
社長が自社株を購入し、保有すること自体は一般的なことだ。業績向上への意識付けとしてむしろ推奨されている。ただし200億円という巨額の自社株を、社長が個人で購入する例は聞いたことがない。この先、株価が上昇すればいいが、仮に1割でも下落すれば20億円の評価損を抱えることになる。リスクもあるこのようなことを、なぜするのだろうか。
購入資金は会社が融資
公表されたリリースには次のことが書いてあった。(1)一定の価格と条件の範囲で証券会社に一任し、4月2日から一定期間で購入する(2)購入資金は、ソフトバンクが宮川氏個人に融資する――といった内容だ。
また、リリースによると、宮川氏はすでにソフトバンク株を約47万株保有している。仮に3月末時点の株価で200億円規模の追加購入をすると、合わせて約1437万株(発行済み株式の0.3%)の保有になるという。
グループ創業者の孫正義氏が保有するソフトバンク株は80万株で、宮川氏はそれを上回り、同社役員ではダントツになる。ただし、孫氏はソフトバンクの親会社であるソフトバンクグループの株式を4億6240万株保有し、同社の発行済み株式の24.6%を保有する筆頭株主だ。
ちなみに3月末時点のソフトバンク株の株価は1438.5円、ソフトバンクグループの株価は9330円だった。
孫氏を支える中心人…
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