熊野英生の「けいざい新発見」

「飲食テークアウトとワクチン促進」のコロナ対策私案

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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高齢者向けの新型コロナウイルスのワクチン接種会場となる八王子市役所1階ロビー=2021年4月5日、野倉恵撮影
高齢者向けの新型コロナウイルスのワクチン接種会場となる八王子市役所1階ロビー=2021年4月5日、野倉恵撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言発令の打撃は、飲食店や、ホテル・旅館などの観光業で大きい。最近の新規感染者数の増加をみると、いずれ東京都などで3回目の緊急事態宣言が出される可能性もあり得ると心配される。大阪府、兵庫県、宮城県ではすでに、まん延防止等重点措置が取られている。

 現状は、緊急事態宣言が発令されなくても、飲食店に対して営業時間の時短要請に応じて協力金が支払われている。ただ、感染者数がこのまま増え続けたり、こうした協力金がどこかの時点で打ち切られたりすると、やはり、事業の継続は困難だと考え、廃業する事業者が増えると予想される。

3月短観は全体では改善

 4月1日に日銀が発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)では、全体としては業況に明るさが見えた。もちろん、飲食・宿泊サービス、対個人サービス、小売りに限ってみると業況は悪く、資金繰りも苦しいとの回答が多かった。しかし、製造業は大きく業況を改善し、飲食・宿泊サービス、対個人サービス、小売りを除いた非製造業も全体としては業況は改善していた。

 短観のこのようなデータからすると、今後の経済対策は、財政資金を広くばらまくのではなく、飲食店やホテル・旅行など観光業に絞って集中的に経営支援をするのが良いと考える。

 観光業については、すでに「Go Toキャンペーン」があり、政府予算は6月末までに約1兆円を計上している。この資金を柔軟に活用できるならば、相当な支援策が実行できるだろう。もちろん難しいのは、従来のGo Toトラベルを大規模に行うと、感染リスクを高めてしまうジレンマがあることだ。感染リスクを制御しながら、事業者…

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。