
2021年に入って米長期金利が上昇ペースを速めてきた。理由はインフレ懸念だとされる。米国では、物価連動債(物価上昇率に応じて元本が調整される債券)の利回りと名目長期金利の差分で表される「期待インフレ率」も、20年中盤から徐々にプラス幅を広げてきた。世界中でこれだけ金融緩和をすれば、インフレ予想もさすがに高まってくる。米連邦準備制度理事会(FRB)も注視しているはずだ。
こうしたインフレの兆候は、金融市場だけで起きている現象ではなく、さまざまな商品市況でも同時に進んでいる。NY原油先物価格(WTI)は、年初から1バレル=50ドルを超えて、今年3月には一時65ドル近くまで上昇した。エネルギー価格の上昇は消費者物価指数など各種物価指標を21年前半にかけて大きく押し上げていくことだろう。
市況の高騰は、穀物や金属にもみられる。小麦、トウモロコシ、大豆の国際市況上昇の背景には、いくつもの要因が絡み…
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