藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

米ダラス「ケネディ暗殺メモリアル」なぜ簡素か考えた

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ダラス都心のケネディ大統領暗殺現場の横に建つJFKメモリアルプラザ(写真は筆者撮影)
ダラス都心のケネディ大統領暗殺現場の横に建つJFKメモリアルプラザ(写真は筆者撮影)

米ダウンタウン編(5)

 2017年10月。アメリカのニューヨークとボストンに出向いた帰路に、南部のダラスとニューオーリンズに立ち寄ってみた。今振り返れば、この4都市のうちダラス以外の三つで、新型コロナ感染が昨年来、世界最悪のレベルで深刻化している。しかしダラス都市圏だけは、人口当たりの死者数が全米平均の3分の2程度ですんでいる(といっても東京都の10倍以上だが)。保守的なイメージのテキサス州の都会は、他の3都市とどう違っているのだろうか。

フォートワースと一体で都市圏

 日本の2倍近い面積に2500万人が住むテキサス州。西半分は乾燥地帯だが、東半分は緩やかに起伏する緑の台地や丘陵地だ。1835年にメキシコからテキサス共和国として独立し、45年に米国に加入した。今でも州内では、星が一つのテキサス州旗(ローンスター)を星条旗より多く見かける。

 ダラスは、西に50キロ離れたフォートワースと一体で、ダラス・フォートワース都市圏を形成している。全体の人口は700万人強で、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴに次いで全米4位だ。

 その中間にあるダラス・フォートワース国際空港は、アメリカン航空のハブで、半円形のターミナルを五つ持つ。中央を南北に走る高速道路から、東西の各ターミナルにそのまま入れる設計で、車社会に対応した完成度はピカイチだ。

 しかし鉄道アクセスもある。五つのターミナルを結ぶスカイリンク(カナダ製の新交通システム)でターミナルAに移動して外に出ると、DART(ダラス高速運輸公社)と呼ばれるLRT(次世代型路面電車)の駅があり、南東のダラス都心方面へ日中20分おきに、4両ないし6…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。